「妊娠がわかって嬉しい!……でも待って、先週キャビテーション受けちゃったけど大丈夫?」
妊娠初期はまだ自覚症状がないことも多く、気づかずに痩身エステに通ってしまうケースは決して珍しくありません。後から「キャビテーションは妊娠中NG」という注意書きを見て、血の気が引くような思いをしている方もいるかもしれません。
この記事では、誤ってキャビテーションを受けてしまった場合の影響と、なぜ妊娠中はNGとされているのか、その理由を正しく解説します。
結論から言うと、過度に心配してストレスを溜める必要はありません。 その理由をしっかり見ていきましょう。
結論:過度な心配はしなくて大丈夫です
まず一番知りたい結論からお伝えします。
これまで、妊娠に気づかずキャビテーションを受けたことが原因で、胎児に重大な影響が出たという明確な報告は確認されていません。
「絶対」という言葉は医学の世界では使えませんが、多くのエステサロンや専門家の見解としても、初期に知らずに受けてしまった回数程度であれば、赤ちゃんへの直接的な悪影響はまず考えにくいとされています。
では、なぜそう言い切れるのでしょうか?
理由:キャビテーションが作用するのは「表面の脂肪」だけ
キャビテーションが赤ちゃんに届かないと言われている理由は、その仕組みにあります。
キャビテーションは、超音波の振動によって脂肪細胞の中に気泡を作って弾けさせ、脂肪を乳化(ドロドロにする)させる施術です。
一見、体の奥まで響くように感じますが、この超音波がターゲットにしているのは皮膚の下2〜3センチ程度の深さにある脂肪層です。
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キャビテーションの波: 皮下脂肪で止まるように調整されている、または脂肪層でエネルギーが消費される。
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赤ちゃんに届くには: 皮膚、厚い脂肪、腹筋、子宮の壁、そして羊水を超えなければなりません。
お腹の奥深くにいて、羊水というクッションに守られている赤ちゃんにまで、脂肪を破壊するような強い振動が直接届くことは物理的に考えにくいのです。
疑問:「エコー検査」と同じ超音波だけど、何が違うの?
「でも、妊婦健診のエコーも超音波だよね? 何が違うの?」
という疑問を持つ方も多いでしょう。
確かに同じ「超音波」ですが、「目的」と「パワー」が全く違います。
| 特徴 | キャビテーション(痩身) | エコー検査(医療用) |
| 目的 | 脂肪を破壊・乳化する | 映像として見る |
| パワー | 強い(細胞を揺らす) | 極めて弱い(跳ね返りを見る) |
| 影響 | 熱や振動が発生する | 身体への影響はほぼゼロ |
エコー検査は、赤ちゃんを見るために微弱な音波を使っているため無害です。
一方、キャビテーションは脂肪にアプローチするために出力が高く設定されています。そのため、妊娠中は念のために使用を避けるのがルールですが、エコーと同じ「音波」の一種であることに変わりはありません。
放射線(レントゲン)のように細胞のDNAを傷つけるような性質のものではないので、その点は安心してください。
それなら、なぜ妊娠中はNGなの?
「赤ちゃんに届かないなら、妊娠中に受けてもいいのでは?」
と思うかもしれませんが、それは間違いです。妊娠がわかった時点で、キャビテーションは絶対にNGです。
主な理由は以下の3つです。
- 医学的な安全性が保証されていない「胎児に影響が出た」という報告がない一方で、「絶対に安全である」という実験データもありません(妊婦さんで実験するわけにはいかないからです)。万が一のリスクを避けるため、施術は禁忌となっています。
- 母体への負担がかかるキャビテーションで乳化された脂肪は、肝臓で処理され、腎臓を通って排出されます。妊娠中の体はただでさえ赤ちゃんを育てるためにフル稼働しており、内臓に余計な負担をかけるべきではありません。
- 体調不良のリスク妊娠中はホルモンバランスが崩れ、皮膚が敏感になったり、血圧が変動しやすかったりします。普段なら平気な施術でも、気分が悪くなったり肌トラブルが起きたりする可能性があります。
まとめ:これからの妊娠生活を大切に
もし、妊娠に気づかずにキャビテーションを受けてしまったとしても、「やってしまった」と自分を責める必要はありません。
今のところ医学的に大きな問題になった事例はなく、ストレスを感じて思い悩むほうが、かえって赤ちゃんによくありません。
今後の対応
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エステサロンへは妊娠した旨を伝え、コースの休止の手続きをしましょう(多くのサロンで妊娠対応の休会制度があります)。
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どうしても不安な場合は、次回の妊婦健診で医師に「妊娠に気づかずエステの超音波を受けてしまった」と相談してみてください。きっと「問題ないですよ」と言ってもらえるはずです。
今はスリムな体型を目指すことよりも、お腹の中で育つ新しい命を一番に考えて、ゆったりとした時間を過ごしてくださいね。


