客単価の重要性と計算方法
客単価は、美容室の経営において非常に重要な指標です。客単価とは「顧客1人当たりの1回の来店で消費する平均金額」を指し、売上を客数で割ることで算出されます。具体的な計算式は以下の通りです。
客単価=売上÷客数
客単価が上がるということは、料金が高くても需要があり、1回の来店で複数のメニューを選んでいただけるということを意味します。これは、現在の美容室運営が順調であることを示す指標ともなります。
美容室の客単価の現状と平均値
全国平均の客単価
厚生労働省の統計情報によると、美容室全体の客単価の全国平均は約6,000円です。また、ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、女性の平均利用金額は7,482円、男性は4,708円で、男女ともに過去5年で最高額となりました。
客単価上昇の要因
客単価上昇の要因としては、メニュー料金の値上げや高単価メニューの流行があります。特に女性ではハイトーンカラーや髪質改善が、男性では利用メニューの多様化が挙げられます。これにより、カット以外のカラーやパーマ、トリートメントなどの利用率が増加し、結果として利用金額が上昇しています。
事業規模別の美容室の売上シミュレーション
個人経営の小規模美容室
小規模美容室の特徴は、従業員が1~5人、客席が3~10席、経営する店舗数が1~2店舗です。1人で経営する場合の売上シミュレーションは以下の通りです。
項目 | 数値 |
---|---|
客単価 | 6,000円 |
1日で対応可能な客数 | 5人(1人の施術時間が90分の場合) |
1ヵ月の営業日数 | 26日(1ヵ月の定休日が4日の場合) |
売上 | 780,000円 |
法人経営の中~大規模美容室
中~大規模美容室の特徴は、スタッフが10人以上、客席が15席以上、複数店舗で展開していることが多いです。売上シミュレーションは以下の通りです。
項目 | 数値 |
---|---|
客単価 | 6,000円 |
1か月の営業日数 | 26日(1ヵ月の定休日が4日の場合) |
平日 | 10人 |
休日 | 14人 |
売上(合計) | 1,752,000円 |
平日 | 1,080,000円 |
休日 | 762,000円 |
客単価UPに効果的なメニュー
セットメニューを出す
美容室ではカットやカラーといった単一メニューに、トリートメントやパーマなどを追加することがあります。単一メニューよりも安価に設定して提供することで、お客様にお得感を感じていただけます。
オプションメニューを追加する
客単価を上げるためにはお客様に寄り添い、それぞれの要望に合わせた提案をすることも重要です。例えば、カラーを行う時に髪の状態に合わせたトリートメントを提案するなどです。
店販に力を入れる
店販とは、美容室の店内でヘアケア商品のような美容に関する商品を販売することです。施術中に使ったり、テスターを置いたりして効果を実感してもらうことで購入につながりやすくなります。
データを正しく見るためのポイント
平均値の計算方法
平均値とは、データの合計値をデータ数で割ったものです。例えば、以下のように計算します。
メニュー | 客数 |
---|---|
4,000円 | 10人 |
5,000円 | 3人 |
7,000円 | 2人 |
(40,000+15,000+14,000)÷15=4,600円
平均値は4,600円となります。
中央値
データを順番に並べたときに真ん中に来る値のことです。この例では、15人のデータがある中で8番目が中央の値になるため、4,000円が中央値となります。
最頻値
最頻値とは、最も多く現れる数値のことです。この例では、1番多くの人が利用している4,000円の10人が最頻値となります。
単価UP/売上UPのための考え方
来店サイクルを考慮する
来店サイクルとは、一定期間内にお客様が美容サロンを訪れる頻度を意味します。来店サイクルを計算することで、美容室をリピートしてもらう戦略を立てることができます。
時間単価を考慮する
売上UPのためには、客単価を上げることだけでなく、時間単価を考慮することも重要です。例えば、メンズカットが30分で3,500円、レディースのカットカラーが1時間半で6,900円だとします。1時間あたりの生産性で見ると、メンズが7,000円、レディースが4,600円となります。
ターゲットを明確にする
集客を行う際は、ターゲットを意識することが大切です。性別や年代、職業、経済力、既婚未婚、居住地などが重なり合うことで、ターゲットにするお客様のニーズや悩みは変わってきます。
まとめ
客単価の向上は、美容室の経営において非常に重要な要素です。客単価を上げるためには、セットメニューやオプションメニュー、店販の強化が効果的です。また、データを正しく分析し、来店サイクルや時間単価を考慮することで、効率的な売上UPが可能となります。ターゲットを明確にすることで、顧客のニーズに応じた価値を提供し、リピート率を上げることも重要です。これらの施策を実施し、美容室の収益向上を目指しましょう。