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里芋の皮に赤い斑点が!?食べる前に知りたい安全ポイントを管理栄養士が解説

里芋は独特のネットリとした食感とほっこり甘い味わいが人気の冬野菜です。調理の際に皮をむくと、稀に切り口や皮の近くに赤っぽい斑点が見られることがあります。この赤い斑点は一見、カビや腐敗のサインのように思え、不安に感じる方が多いのも事実です。では、この赤い斑点は食べても大丈夫なのでしょうか?
実は里芋の赤い斑点は「アントシアニン」というポリフェノールの色素が酸化してできたもので、腐敗や有害なカビによるものではありません。アントシアニンはブルーベリーや赤ワインなどにも含まれる天然の色素成分で、抗酸化作用などの健康効果も期待されています。
つまり、赤い斑点があっても里芋本体には問題がなく、味や食感への悪影響もありません。加熱調理しても色素は多少残ることがありますが、気にせず美味しくいただけます。

赤い斑点の正体とその発生原因

里芋に含まれるアントシアニンは通常は皮の近くに多く存在し、収穫後の時間経過や保存環境によって変化します。とくに以下のような原因で赤色が強調されることがあります。

1. 収穫後の時間経過

収穫してから日数が経つと、里芋内部の成分が徐々に変化し、アントシアニンが酸化しやすくなります。そのため切り口に赤みが出やすくなります。

2. 低温障害

冷蔵庫などの低温環境に長時間置かれたり、低温によって細胞がダメージを受けることでアントシアニンの酸化が進む場合もあります。
どちらの状態でも見た目には赤色の斑点や筋状の模様として現れますが、これは里芋の天然成分の変質であり、健康には害はありません。

食べるのを避けたほうがいい里芋のサイン

赤い斑点があっても問題ないことがほとんどですが、一方で食の安全のために注意すべき変色や状態もあります。以下のような場合は食べるのを避けましょう。

異常の種類 見た目の特徴 意味・理由
全面的な赤みや黒ずみ 切り口全体が赤や黒く変色している 腐敗が進行している可能性が高い
部分的な黒ずみ 一部が黒ずみグレーがかっている カビの発生や腐食が疑われる
身の柔らかさ 触ってみるとフカフカで弾力がない 組織が劣化しているため臭いや味も悪い

このような状態は安全に食べることができないため、必ず廃棄し、食中毒リスクを避けてください。

新鮮で美味しい里芋の選び方のポイント

鮮度の良い里芋を選ぶことが、安全かつ美味しく食べるための第一歩です。スーパーなどで購入時にチェックしておきたいポイントをまとめました。

1. 実の大きさと形

小さすぎず、ふっくらと丸みがある形状のものが良いとされています。あまりに小さいものや形が歪んでいるものは避けましょう。

2. 泥や土の付着具合

泥がついたままの里芋は新鮮さの証です。適度に湿っているものが、乾燥を防ぎ鮮度を保っています。

3. 表面の模様

しま模様が均一でくっきり見えるものは、状態が良好な場合が多いです。

4. 手触り

袋詰めの場合は、全体にしっかりとした硬さがあり、柔らかすぎないものを選んでください。
これらを基準に選ぶと、より美味しく里芋を楽しめます。

里芋の下処理と加熱調理のコツ

里芋は独特のぬめり成分があり、下処理の際に手がかゆくなることもあります。以下のポイントを参考に調理をスムーズにしましょう。

1. 泥をよく洗う

購入した里芋はまず泥の付着を洗い流します。流水で優しくこすり洗いし、土を落としましょう。

2. 水分を拭いて乾かす

洗ったあとはしっかりと水気を拭き取り、表面が乾いた状態で皮むきを始めるとぬめりが出にくくなります。

3. 包丁やピーラーで皮をむく

包丁で皮をむくのが一般的ですが、最近は剥きやすい専用ピーラーも販売されています。手にかゆみが出やすい場合は手袋の使用もおすすめです。

4. 加熱方法もポイント

里芋を煮物やおでんに入れる際は、下茹でしてぬめりを軽減すると仕上がりが滑らかになります。また、電子レンジで加熱して柔らかくしてから調理する方法も便利です。

里芋の栄養価と健康効果

里芋は胃腸に優しく、ビタミンCや食物繊維、カリウムをはじめとしたミネラルが豊富です。また、アントシアニンを含むポリフェノール群は抗酸化作用が期待され、生活習慣病予防や美肌効果にもつながるとされています。
特に秋から冬にかけて旬を迎える里芋は、体を温める効果もあり、寒い季節の食事にぴったりです。

まとめ

里芋の皮をむいたときに現れる赤い斑点は、アントシアニンによるもので、腐敗やカビではないため、基本的には安心して食べられます。しかし、全体が赤紫または黒ずんでいる、身が柔らかくなっているといった場合は、腐敗の可能性があるため避けるのが安全です。
購入時は形や土つき、手触りで鮮度を見極め、調理前にはしっかりと洗って水気を取り除くことが調理をしやすくするコツです。これらのポイントを押さえて、里芋の美味しさと栄養を存分に味わいましょう。

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