冬になるとおでんやぶり大根など、ほっこり温まる煮込み料理が恋しくなります。しかし、せっかく調理しても「大根が苦くて美味しくない」と感じたことがある方も少なくありません。大根が苦くなるのには主に4つの原因があります。
1. 大根に含まれるアク成分「クロロゲン酸」
大根にはポリフェノールの一種、クロロゲン酸が含まれており、これが苦みやえぐみの元になります。品種改良により苦みが少ない大根も増えていますが、個体差や品質によっては苦みを感じやすいことがあります。
2. 収穫後の時間経過が苦みを増す
収穫してから時間が経つと、大根の成分が変化し、苦みが強くなることがあります。大根は比較的日持ちしますが、購入したらなるべく早く調理することが美味しく食べるポイントです。時間が経ってしまった場合は、味付けを濃くする方法も効果的です。
3. 旬の時期以外に収穫された大根
大根の旬は10月から3月頃。寒さの中で糖度を増し甘みが強くなります。逆に温かい季節に収穫された大根は味が薄く、苦みを感じやすい場合があります。
4. 大根の部位による味わいの違い
大根は部位によって味が異なります。葉に近い太い部分は甘みが強く、細い先端に近づくほど辛みや苦みが増します。苦みが気になる場合は、先端部分を大根おろしやマリネに使い、真ん中の部分は煮込み料理に使うのがおすすめです。
大根の苦みを抑えるアク抜きテクニック
苦みやえぐみを和らげるために効果的なのが、下処理の「アク抜き」です。正しい方法でアク抜きを行うと、大根本来の甘みや旨味を引き出せます。
米の研ぎ汁で簡単アク抜き
【材料・準備】
– 大根:3~4cmの輪切り
– 米の研ぎ汁:大根が浸るくらい(研ぎ汁がなければ、水に米1スプーンを加える)
【手順】
1. 鍋に大根と米の研ぎ汁を入れ、火にかける。
2. 沸騰したら弱火にし、竹串がすっと通るまで加熱する。
3. ザルにあげて洗い、ぬめりをしっかり取り除く。
この方法は米の研ぎ汁に含まれるカルシウムが大根の苦み成分と結びつき、中和してアクを取り除きます。また、でんぷん質がアクを取り込み、大根に戻るのを防ぎます。そのため、水だけで茹でるよりも甘みを感じやすく、味わい豊かに仕上がります。
片栗粉を使った代用アク抜き
もし米の研ぎ汁が手に入らない場合は、水に少量の片栗粉を溶かしたものを使って茹でる方法も有効です。でんぷん質が働いて同様のアク抜き効果を生み出します。
大根のおいしさを引き出す調理ポイント
アク抜き以外にも、苦みを抑えて美味しく食べるためのポイントを押さえましょう。
大根の部位ごとに使い分ける
– 先端部分…辛み・苦みが強いので、おろしやマリネに。
– 真ん中部分…水分が多く柔らかいため、煮物やおでんに適しています。
– 根本部分…甘みが強いのでサラダや煮物に利用可能。
薄切りや下茹でで苦みを軽減
大根を薄くスライスしてから下茹でをすることで、苦み成分を除きやすくなります。下茹での際、水にさらすとより苦みが抑えられます。
旬の大根を選ぶ
美味しい大根を手に入れるには、寒い季節の旬の大根を選ぶことが重要です。甘みも増しており、苦みを感じにくいです。
まとめ
大根の苦みは主にクロロゲン酸というアク成分によるものですが、収穫後の時間や季節、使う部位によっても変わってきます。手軽にできる米の研ぎ汁を使ったアク抜きは非常に効果的で、大根を甘くおいしく仕上げるのにおすすめです。部位ごとの使い分けや旬の時期の大根を選ぶ工夫をすることで、毎日の食卓がより豊かになるでしょう。ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にして、大根料理を楽しんでみてください。
