学生が自分で事業を起こすことを「学生起業」と呼びます。近年は、高校・大学の在学中に事業を起こし、成功を収める若手経営者が増えています。
この記事では、学生起業のやり方や失敗しないためのコツについて詳しく解説します。学生起業を考えている方や、具体的な方法を知りたい方はぜひ参考にしてください。
学生起業の基本的な流れ
起業のアイデアをまとめる
斬新なアイデアを持って起業した経営者は、革新的なイノベーションを生み出し、成功を掴むことが多いです。既存のビジネスアイデアに乗っかる方法もありますが、競合が多く成功率が下がるため、独自のアイデアは起業に際して必要不可欠です。アイデアはまず身近なところから探してみましょう。興味のある分野や不便に感じていることなどを掛け合わせてアイデアを練るのがおすすめです。
事業計画書を作成する
事業計画書は、事業の戦略や内容などを具体的に説明するための書類です。頭の中で描いている事業のアイデアを明確化し、他者に示すために欠かせないものです。金融機関から融資を受けるときや、事業に仲間を誘うときにも、事業計画書があれば相手に理解してもらいやすくなります。主に以下の内容を記載するのが基本です。
– 事業のビジョンや内容
– サービス・商品の強み
– 市場の環境
– 競合の情勢
– マーケティング戦略
– 生産方法
– 売上計画
– 利益計画
– 資金調達計画
ヒト・モノ・カネの準備をする
起業には「ヒト・モノ・カネ」が必要不可欠です。「ヒト」は人材、「モノ」は事業のための設備、「カネ」は資金のことを指します。いずれも大切な経営資源であり、ひとつでも欠けると事業の成功が遠のくかもしれません。学生起業の場合、「ヒト」は学内や学生起業家の仲間の間で募る方法があります。「カネ」はアルバイトで貯蓄する以外にクラウドファンディングやベンチャーキャピタルで資金を募る方法も注目されています。「モノ」に関しては、学校のパソコンルームや教室を使うほか、クラウドサービスを利用すると便利でしょう。
開業の手続きをする
起業にあたっては、「個人事業主として開業するか」「会社を設立するか」の2つの選択肢があります。個人事業主の場合は、事業を始めてから1ヶ月以内に「開業届」を税務署に提出します。会社を設立する場合は、定款と登記書類を作成しましょう。定款の認証を受けた後に法務局へ登記申請を行い、問題なければ会社を設立できます。個人、法人共に青色申告をする場合は「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
事業をスタートする
必要な経営資源がそろい、開業の手続きを終えたら事業のスタートです。商品やサービスの展開を始めましょう。ただし、事業スタート後も税金関連などの公的な手続きが必要となる場合もあるため、事業以外の面にも気を配るようにしてください。
学生起業のメリット
コストやリスクが比較的少ない
学校を拠点としてビジネスを起こす場合、オフィスを構える必要がなく、教室やパソコンルームなどを活用できるためコストを抑えられます。また、万が一失敗したとしても、就職活動では起業経験が高く評価されることが多いでしょう。
時間と体力がある
学生は、社会人と比べて自由に使える時間が多く、体力もあるため起業に全力を注げます。時間に余裕があれば、時流に合わせたスピーディーな事業展開も可能です。
支援者を得やすい
社会的に半人前と捉えられることが多い学生は、「若者を育てたい」と考える経営者などからのサポートを得やすいといわれています。先輩経営者からはビジネスのノウハウを教えてもらえるだけでなく、経済的な支援も受けられる可能性があるでしょう。
学生起業のデメリット
学業との両立が難しい
起業後、事業が忙しくなると学業が疎かになり両立できないパターンも少なくありません。起業と学業を両立させるには、それぞれの時間配分をしっかり行う必要があります。
資金調達が行いづらい
親から扶養を受けている学生は、社会的信用が低く、金融機関からの資金調達が難しい可能性が高いです。そのため、近年の学生起業家は、クラウドファンディングやビジネスコンテストの入賞賞金などを資金に充てるケースが増えています。
友人と過ごす時間が限られる可能性がある
学生起業家は事業に時間を費やす必要があるため、友人と過ごす時間が必然的に少なくなります。友人達が遊んでいる姿が羨ましく思う場合もありますが、それでも意志を強く持って事業を進めていくことが大切です。とはいえ、人生一度きりの学生生活であるため、友人と過ごすかけがえのない時間は他には替えがたいものです。事業が軌道に乗ったら、仕事に充てる時間以外も確保できるよう、効率性と生産性に力を入れるとよいでしょう。
学生起業に向いている分野
学生起業に向いている分野を選ぶことは、成功への一歩です。以下に、特に学生起業に適している分野をいくつか紹介します。
IT関連
ITに関する知識があれば、少ない設備投資で始められるため、学生起業にぴったりです。プログラミングやWebデザイン、アプリ開発など、自分のスキルを活かして始めることができます。
イベント企画
大学内での協力者を得やすく、イベント企画は学生同士のネットワークを活かせる分野です。特に学内イベントやサークル活動に関連した企画は需要があります。
ファッション関連
学生ならではのトレンド感を活かし、ファッション関連のビジネスを展開することも一つの方法です。例えば、オリジナルのアパレルブランドを立ち上げたり、古着をリメイクして販売したりすることが考えられます。
学生起業に参考になる起業アイデア
さまざまな種類の起業アイデアに触れることは、新たなビジネスチャンスを見つけるきっかけになります。以下のアイデアを参考にして、自分なりのビジネスを考えてみてください。
Webサイトやアプリ制作
プログラミングスキルを有している学生なら、Webサイトやアプリの制作を始めるのも一つの手です。特にニッチな市場をターゲットにしたアプリやサイトは、競合が少ないため成功しやすいでしょう。
動画編集
動画コンテンツの需要が高まっている現代、動画編集や制作は注目される分野です。特別なスキルがなくても始めやすいため、YouTubeやSNS向けの動画編集を請け負うビジネスも考えられます。
イベント開催
就職説明会やキャリアセミナーなど、学生向けのイベントを企画することで、学生ならではの集客力を活かすことができます。特に、学内のネットワークを活用したイベントは開催しやすいでしょう。
ネットショップ運営
トレンドに敏感な学生なら、ネットショップ運営も一つの選択肢です。例えば、ハンドメイド商品を販売したり、海外から輸入したアイテムを販売したりすることで利益を上げることができます。
学生起業に失敗しないためのポイント
学生起業を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。以下に失敗を避けるための具体的な方法を紹介します。
事業計画をしっかり立てる
事業計画書は、事業の方向性や戦略を明確にするために必須です。具体的な計画があれば、協力者や資金調達先にも納得してもらいやすくなります。事業計画書を作成する際には、「6W2H」を意識して進めましょう。
最初から借入をしない
起業初期から借入を行うと、失敗時に借金が残るリスクが高まります。アルバイトで貯蓄した資金や、クラウドファンディングを活用するなどして、なるべく自己資金で始めるようにしましょう。
個人事業主でスタートする
開業の際にかかる費用を抑えるため、まずは個人事業主からスタートするのがおすすめです。利益が出てきた段階で会社設立を検討することで、初期費用を抑えつつ事業を拡大できるでしょう。
まとめ
学生起業は、若い力と柔軟な発想を活かして新たなビジネスを創出する絶好の機会です。成功するためには、斬新なアイデアや綿密な事業計画、ヒト・モノ・カネの準備が必要不可欠です。また、学業との両立や資金調達の工夫、友人との時間のバランスも重要なポイントです。
成功事例を参考にしつつ、自分に合った分野やアイデアを見つけ、計画的に進めていくことが大切です。学生生活を充実させながら、夢に向かってチャレンジしてみてください。