近年、マツエクサロン(アイサロン)は若い世代を中心に、女性にとって欠かせない美容サロンとなりました。新型コロナウイルスの影響でマスク着用が当たり前になり、アイメイクに力を入れる女性が増えたことも注目を集めた理由の1つですが、規制が緩和された現在も高い需要を保っています。
マツエクサロンの開業資金
マツエクサロンを開業する際に準備しておきたい資金は、一般的にテナントを借りる場合は最低でも200万円ほど、自宅を利用する場合は100~150万円ほどだといわれています。
開業にかかる初期費用の内訳には、以下のようなものがあります。
– テナントの賃料
– 内装工事費
– パソコンやエアコンなどの設備費
– 施術で使用する備品代
– 宣伝広告費
これらの費用のほかにも、開業後の経営資金も用意しておくことが望ましいです。集客が思った通りにいかず軌道に乗るまで数カ月以上かかることもあります。開業後の経営資金も考慮すると、200~300万円ほどの資金は用意しておくと良いでしょう。
大型のマシンを使用しなければならない他のエステサロンなどに比べると、初期費用を抑えて開業できるマツエクサロンですが、それでも一度に数百万円のお金を用意するのは難しいですよね。
助成金とは
簡潔に説明すると、助成金とは事業者の取り組みをサポートする目的で国から支給される資金のこと。主に労働者の職の安定を目的としており、一定の受給要件を満たし、労働関係の法律を守っていれば受給することができます。
主な受給条件は、雇用の維持や従業員の労働環境改善への取り組みに関することとなっています。
補助金との違い
助成金と似た制度に「補助金」があります。どちらも国や地方公共団体から事業者に向けて支給される資金ですが、大きく違う点が2つあります。
1点目は、補助の目的と管轄する省庁の違いです。先述の通り助成金は職の安定など雇用関係の目的を持ち、厚生労働省が管轄します。一方で補助金は新規事業や研究開発を目的としていることが多く、経済産業省が管轄しています。
2点目は、受給難易度の違いです。助成金は対象者や資金使途など、要綱に記載されている要件に当てはまっていれば基本的に必ず受給できます。一方、補助金は選考方式となり、支給目的や趣旨、採択件数などが明確に決められています。申請したからといって必ず受給できるとは限りません。
助成金のメリット
助成金の受給には以下のようなメリットがあります。
返済が不要で、雑収入になる
助成金は適切な雇用があると判断された事業所に交付される「支援金」であるため、融資とは異なり、返済する必要がありません。また、雑収入として事業所得の扱いになるため、青色申告をする際に有利となります。
申請条件を満たせば必ず受給できる
補助金が要件を満たした上で、さらに審査に通過しなければならないことを考えると、助成金は要件を満たせばほぼ確実に受給できるという利点があります。補助金の審査には決まった予算があるため、応募が多ければ需給の難易度が非常に高くなる場合もあります。
労働環境の整備につながる
先述の通り、助成金の支給対象となりうる取り組みの多くは従業員の教育訓練や処遇改善に関するものです。従業員のスキルアップやモチベーションのアップにつながれば、サロン全体の労働環境が整備され、スタッフの定着やサロンの業績向上も期待できます。
マツエクサロン開業に利用できる助成金
それでは、実際にマツエクサロンを開業する際に使える助成金について見ていきましょう。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金はスタッフの待遇を改善をすることで申請できる助成金です。マツエクサロンを拡大し、スタッフを雇用する際に、助成金を利用しながらスタッフを増やすことができます。
「正社員コース」ではパートタイムや有期契約のスタッフを、正社員として採用する際に活用できる制度で、1人のスタッフにつき最大で57万円の助成金を受けることが可能です。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、人材の育成や教育に力を入れていると判断された場合に受給できる助成金です。「キャリア形成支援制度導入コース」と「職業能力検定制度導入コース」の2種類があり、制度を導入することでともに47万5,000円受給することができます。
地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金は地域の雇用拡大のために作られた助成金です。指定された地域にマツエクサロンを開業した場合に支給されます。対象となる地域は以下の3区分です。
– 同意雇用開発促進地域
– 過疎等雇用改善地域
– 特定有人国境離島等地域
※同意雇用開発促進地域とは、求職者数に対して求人数が大きく不足している地域を指します。
労働者の雇用人数に応じて、40万~900万円を3年間に渡り毎年受給することができますが、受給条件として労働者の雇い入れや労働管理を怠らずに継続する必要があります。
両立支援等助成金
両立支援等助成金は、育児休業や介護休業を取りやすい環境づくりを目的として設置された助成金です。育児や介護のためにフルタイムで働くことができないスタッフのために短時間勤務制度を定めたり、職場環境を整えることが条件です。
制度作りにあたっては、具体的にどのような施策をどのくらいの時期で実施するのかを計画し、実行に移す必要があります。受給できる助成金の金額は、育児休暇1人目は57万円、2人目以降は14万2,500円となります。
助成金の申請方法
事前準備
まず、厚生労働省から支給される助成金の財源はほぼ雇用保険料であるため、助成金を申請するためには雇用保険に加入していることが条件となることがほとんどです。
労働者名簿や賃金台帳、出勤簿や就業規則などの書類を提出し、それに基づき賃金の計算を行う必要があります。普段から労働基準法に従い、書類の準備をしておきましょう。
これに加えて、各補助金の申請時に求められる書類を作成しておく必要があります。いずれにせよ、日常的にサロンの労務・経理管理をしっかりと行っておくことが求められるということです。
申請手順
支給申請書類のうち、記入が必要な書類は全て厚生労働省のホームページにまとめられています。ファイルをダウンロードし、必要な箇所をすべて入力した後に印刷をします。
添付書類と併せて都道府県労働局もしくはハローワークに提出(※一部、提出先が異なる助成金があるため、注意が必要)することで申請が可能です。
提出が完了したら、行政によって各書類に不備がないか審査が行われます。要件を満たしている場合には支給決定通知書が送付され、受給できることになります。
分からない場合は専門家に相談しよう
助成金の申請に関して不明な点があれば、管轄するハローワークや各都道府県労働局まで電話で相談することができます。助成金によっては様式が簡易化され、コールセンターが設置されて記入方法などの相談を受け付けています。
ただし、代理で書類を作成してくれるわけではないので、質問してもわからない場合は専門家に代理申請を依頼することも1つの手。社会保険労務士に依頼する場合は、成功報酬は助成金受給額の10%~20%程度のことが多く、これに2~10万円の着手金が加算される場合もあります。
まとめ
助成金を活用してマツエクサロンを開業しよう
いかがでしたでしょうか。マツエクサロンは自宅でも始められ、美容師免許を取得していれば比較的開業しやすいサロン。今回紹介した助成金は返済が不要で、受給の難易度も高くないため、開業資金を抑えておきたい方にはおすすめです。