アシュタンガヨガは、呼吸と動きを連動させたヴィンヤサスタイルのヨガです。その基本的なウォーミングアップとして位置づけられるのが「太陽礼拝A」と「太陽礼拝B」の2種類の太陽礼拝シークエンスです。これらは、一連のポーズをリズミカルに繰り返しながら体の柔軟性や筋力を高めることを目的としています。
「太陽礼拝A」は主に背骨を前後に屈伸し、体幹の柔軟性を高める動きが基本。一方で「太陽礼拝B」は、太陽礼拝Aの動きに加え、腰のねじりや脚を大きく開くポーズが取り入れられ、より負荷が高いシークエンスとなります。この2つを組み合わせることで、体全体のバランスが整い、アシュタンガヨガのベースをしっかりと築くことができます。
太陽礼拝Aとは?基本のシークエンスを確認しよう
太陽礼拝Aは、山のポーズ(サマスティティヒ)から始まり、また山のポーズで終わるシンプルかつ基本的な流れです。呼吸と動きを連動させ、背骨の柔軟性を高めることに重点が置かれています。
太陽礼拝Aの主なポーズと流れ
1. **サマスティティヒ(山のポーズ)**
まっすぐ立ち、背筋を伸ばします。両手は胸の前で合掌。深い呼吸を整えます。
2. **腕を上げて伸びる(ウルドヴァ・ハスタ・サンディアナ)**
息を吸いながら両腕を上に上げ、背骨を伸ばします。
3. **前屈(ウッタナーサナ)**
息を吐きながら、腰から前屈し手は床またはすねに向けて伸ばします。
4. **半分前屈(アルダ・ウッタナーサナ)**
息を吸いながら背筋を伸ばし、目線は前方へ。背中を長く保ちます。
5. **ジャンプか歩いてプランクポーズに移行**
息を吐きながら足を後ろに送り、腕立て伏せの姿勢をとります。
6. **チャトランガ・ダンダーサナ(四肢の杖のポーズ)**
肘を曲げて体を地面すれすれまで下ろします。体幹の筋力が必要です。
7. **アップドッグ(ウルドヴァ・ムカ・シュヴァナーサナ)**
息を吸いながら胸を前に開き、上体を反らせます。脚は床から離れません。
8. **ダウンドッグ(アド・ムカ・シュヴァナーサナ)**
息を吐きながらお尻を天井に向けて持ち上げ、V字型のポーズをとります。
9. **ジャンプか歩いて前屈に戻る**
息を吸いながら足を手のところに戻し、前屈の姿勢へ。
10. **半分前屈**
再び背筋を伸ばすために上体を上げる。
11. **立位で腕を上げる**
息を吸いながら両腕を上げ、体全体を伸ばす。
12. **山のポーズに戻る**
息を吐きながら両手を下ろして立位の姿勢へ戻る。
この一連の流れを5回ほど繰り返して行うのが基本です。背骨を順に動かしながら柔軟性を増し、体にエネルギーを巡らせていきます。
太陽礼拝Bとは?より動きと強度がアップ
太陽礼拝Bは、太陽礼拝Aの基本をベースにさらに動きが加わり、全身の筋肉をより強力に使う構成です。特に脚の筋肉や腰の動きも含まれ、より高い体力と柔軟性が要求されます。
太陽礼拝Bの特徴とポーズの違い
– **戦士のポーズⅠ(ヴィラバドラーサナⅠ)**を取り入れることで脚のねじりや開脚動作が加わり、股関節の柔軟性が促進されます。
– 太陽礼拝Aでの半分前屈に加え、身体のひねりや膝の屈伸の動きが増えるため、体幹の安定性が一層必要になります。
– チャトランガ、アップドッグ、ダウンドッグといった動きは太陽礼拝Aと共通。ただし、動きの間の切り替えが速くなり、持久力の向上へ寄与します。
太陽礼拝Bの主な流れ
1. **山のポーズからスタート**
2. **腕を上に伸ばして戦士Ⅰポーズに移行(右足前)**
3. **伏せのポーズ(プランク)へと続くチャトランガ**
4. **アップドッグからダウンドッグの流れ**
5. **戦士Ⅰポーズ(左足前)**
6. **同様にチャトランガ、アップドッグ、ダウンドッグ**
7. **前屈、半分前屈を経て山のポーズに戻る**
この流れを繰り返し通常5回実施します。
太陽礼拝AとBの違いをまとめると
| 項目 | 太陽礼拝A | 太陽礼拝B |
|---|---|---|
| 主な目的 | 背骨の柔軟性向上、基本的ウォーミングアップ | 脚と体幹の強化、体全体のエネルギーアップ |
| 含まれるポーズ | 前屈、背骨の伸展、チャトランガ、アップドッグ、ダウンドッグ | それらに加え、戦士Ⅰポーズなどの脚を大きく使う動き |
| 運動強度 | 中程度 | 高め |
| 実施回数の目安 | 5回 | 5回 |
| 主な効果 | 柔軟性の増加、呼吸の調整 | 筋力アップ、持久力向上 |
太陽礼拝を効果的に行うためのポイント
太陽礼拝は単なるポーズの連続ではなく、呼吸を意識しながら一連の動作を滑らかに繋げることが重要です。以下の点を押さえることで、より効果的に練習が行えます。
呼吸と動きをシンクロさせる
動作に合わせて呼吸を調整することで、体内のエネルギー循環がスムーズになります。例えば、前屈のポーズに移るときは息を吐き、背筋を伸ばす動作では息を吸うといったリズムを大切にしましょう。
無理をしない範囲で徐々にポーズを深める
特に初心者は体の硬さや筋力に無理が生じないよう、無理のない範囲でポーズをとることが大切です。継続することで身体は徐々に柔らかくなり、より深い動きが可能になります。
定期的に練習を継続する
太陽礼拝AとBを週に数回取り入れ、継続練習することが最大の効果を発揮するコツです。時間がない場合は太陽礼拝のみでも約20分の短いセッションとして十分効果的です。
太陽礼拝でよくある悩みと対策
太陽礼拝は基本動作とはいえ、慣れるまでは苦手ポイントや動作のぎこちなさを感じることがあります。よくある悩みとその対処法を紹介します。
チャトランガ(肘を曲げて下げる動作)がつらい
腕や肩の筋力不足の場合は、膝を床につけた状態で行ったり、動作をゆっくり繰り返して筋力をつけていきましょう。または肘を深く曲げ過ぎず、体に負担がかからない範囲で調整します。
ジャンプバックやジャンプインの動きが苦手
ジャンプを使わずに一歩ずつ足を後ろや前に動かしても問題ありません。身体の状態に合わせて段階的に動きを強化していきましょう。
腰痛や肩こりがある場合
体に痛みがある場合は無理をせず、特に腰を反りすぎないよう注意します。必要に応じて専門家に相談した上で、適切なフォームに修正しながら練習してください。
太陽礼拝をマスターしてアシュタンガヨガの土台を築こう
太陽礼拝AとBは、アシュタンガヨガシークエンスの基礎となる重要な練習です。基本的な動きの習得は、その後の難易度の高いアーサナ(ポーズ)やパフォーマンス向上に直結します。呼吸を深く整えながら、毎日の練習に取り入れてみましょう。
無理なく焦らず自分のペースで進めることが、長く続けられる秘訣です。ぜひ太陽礼拝の動きと呼吸の調和を体感し、快適なヨガライフを実現してください。
